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解体工事の追加請求トラブルはなぜ起きる?契約前に確認する4つの原因
解体工事で追加請求が起きやすい地中埋設物・アスベスト・残置物・近隣対応の4つの原因と、2022年からのアスベスト事前調査義務を踏まえ、契約書と見積書で確認する箇所を整理します。
目次
追加請求が出やすい4つの原因
解体工事の見積は、建物の構造、延床面積、重機やトラックが入れるかどうかを現地で見て出されます。追加請求の多くは、その時点で見えなかったものか、見積書に書かれていなかった作業から生じます。原因として挙がりやすいのは、地中埋設物、アスベスト、家に残った家財などの残置物、近隣対応を含む現場条件の4つです。
いずれも工事が始まってから判明しやすい。重機と作業員が現場にいる状態で追加費用を示されると、工事を止めて他社と比べる余地はほとんどありません。そのため、どこまでが見積に含まれ、どこからが別途なのかを契約前に書面で線引きしておくことが、トラブルを減らす実際的な手段になります。
地中埋設物は基礎を撤去してから見つかる
建物を壊して基礎を掘り起こすと、以前建っていた家の基礎、コンクリートがら、使われなくなった浄化槽や便槽、井戸、古い配管などが出てくることがあります。建て替えを経た土地や、汲み取り式から下水道に切り替えた家では、その経緯を見積の段階で伝えておくと、業者が想定を立てやすくなります。
見積書に「地中障害物は別途」「発見時は協議」とだけ書かれている場合、撤去費の単価も上限も決まっていません。契約前に次の3点を取り決めておけば、あとで請求額を確かめられます。
- 発見したら作業を止め、写真付きで施主に報告する
- 撤去と処分は施主の承諾を得てから行う
- 処分費を1立方メートルあたり、または1トンあたりの単価で見積書に書く
地中に何が埋まっているか、契約前に調べてもらうことはできますか?
掘らずに確定させる方法は限られます。建築時の図面や古い住宅地図、以前の建物についての家族の記憶を集めて現地調査の日に伝えると、見積に想定として織り込んでもらえる範囲が広がります。
アスベスト事前調査の義務と費用の出方
解体や改修の前に、アスベスト(石綿)が使われているかを調べる事前調査は、工事の規模にかかわらず必要です。環境省と厚生労働省は、大気汚染防止法と石綿障害予防規則の改正による段階的な義務化を次のように案内しています。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2022年4月1日から | 解体部分の床面積の合計が80㎡以上の解体工事や、請負代金100万円以上(税込)の改修工事などは、事前調査結果を「石綿事前調査結果報告システム」で自治体と労働基準監督署へ報告する |
| 2023年10月1日から | 建築物の事前調査は、厚生労働省・国土交通省・環境省の告示に基づく講習を修了した建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行う |
費用に影響するのは、この調査の後です。設計図書と目視で判断できない建材は、分析に出すか、含有しているとみなして除去します。除去することになった場合、吹付け材、保温材や耐火被覆材、スレート板などの成形板では飛散のしやすさが違い、養生、作業方法、処分方法が変わるため費用の幅も広がります。
見積書で「アスベスト含有時は別途」となっているなら、事前調査を契約前に済ませ、報告書を見積の根拠として受け取れるかを業者に尋ねてください。調査費、分析費、除去費、処分費が別々の行に書かれていれば、どこが増えたのかを後から比べられます。
※2026年7月時点の目安です。最新の料金・制度は各社公式・自治体でご確認ください。

残置物は許可の種類まで確かめる
家具、家電、衣類、布団を家に残したまま解体を頼むと、見積にない「残置物処分費」が加わりやすくなります。家の中の家財は家庭から出る一般廃棄物で、その回収には家のある市区町村の一般廃棄物処理業の許可が必要です。解体業者に家財の処分まで任せるなら、業者本人か提携先がその許可を持っているかを確認します。
自分たちで量を減らす方法もあります。自治体の粗大ごみ収集は申し込み制が多く、引っ越しの多い3月から4月は予約が先まで埋まることがあるので、解体の日程から逆算して始めます。エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は家電リサイクル法の対象で、粗大ごみとしては出せません。
地域を回るトラックの「無料回収」については、環境省と国民生活センターが、無許可業者による高額請求や不法投棄のトラブルへの注意を呼びかけています。
実家を相続する立場で相続放棄を考えている場合、家財の処分や建物の解体が相続財産の処分にあたり、単純承認とみなされて放棄できなくなるおそれがあります。価値のある遺品を含めて手を付ける前に、家庭裁判所での手続きの期限と流れを確かめ、弁護士や司法書士に相談してください。
近隣対応と現場条件で増える費用
前面道路の幅が4mに満たず重機や大型トラックが入れない家では、小型重機や手作業に切り替わり、運搬の回数も増えます。隣家との間が数十センチしかなければ、防音シートを厚くしたり、手壊しの範囲を広げたりすることになります。どちらも現地調査で分かる条件なので、見積に反映されているかを確認します。
見積から抜けやすい項目もこの分野に集まっています。道路にトラックを止めるための警察署への道路使用許可、交通誘導員の配置、ブロック塀やカーポート、庭木や庭石の撤去は、「建物本体」の見積に含まれていないことがあります。ブレーカーなどを使う作業が騒音規制法・振動規制法の特定建設作業にあたる地域では、元請業者が作業開始の7日前までに市町村長へ届け出ます。
近隣へのあいさつを誰が、着工の何日前までに、どの範囲の家へ行うのかも決めておきます。苦情を受けて作業時間を短くした場合、延びた工期の費用を誰が負担するかは契約書の工期変更の条項で扱われます。
契約書と見積書で確認する箇所
建設業法は、工事内容や工期の変更があった場合に請負代金をどう変えるか、その額をどう算定するかを契約書に定めるよう求めています。契約書を受け取ったら、工事範囲の明細、別途工事や追加工事の条項、支払いの時期の3か所を先に読み、見積書の「一式」「別途」と照らし合わせます。
| 原因 | 見積書での書き方の例 | 契約前に確認すること |
|---|---|---|
| 地中埋設物 | 地中障害物別途 | 発見時の報告方法、単価、承諾の手順 |
| アスベスト | 含有時は別途協議 | 事前調査の時期、報告書、分析・除去・処分の内訳 |
| 残置物 | 残置物処分一式 | 対象の範囲、量の上限、一般廃棄物処理業の許可 |
| 近隣・現場条件 | 諸経費一式 | 養生、誘導員、道路使用許可、塀や庭木の範囲 |
業者そのものの確認も同じ時期に行います。解体工事を請け負うには、請負代金500万円未満(税込)なら都道府県の解体工事業登録、500万円以上なら建設業許可が必要です。延床面積80㎡以上の建物を解体するときは、国土交通省と環境省が所管する建設リサイクル法により、発注者である施主が工事着手の7日前までに都道府県知事などへ届け出ます。届出を業者に任せる場合も、委任状の内容は自分で確かめます。
工事中に電話で「地中からがらが出たので追加費用がかかる」と言われたら、その場で了承してよいですか?
口頭では了承せず、写真、数量、単価を載せた追加見積を書面かメールで出してもらい、合意を記録に残してから作業を進めてもらいます。話がこじれたときは、消費者ホットライン188に電話すると最寄りの消費生活センターにつながります。
まとめ
解体の追加請求は、地中埋設物、アスベスト、残置物、近隣対応と現場条件の4つから生じやすく、どれも見積書の「別途」「一式」「協議」という言葉の裏にあります。契約前に、別途の項目ごとに単価と報告の手順を書面で決めてください。
アスベストは2022年4月から一定規模以上の工事で調査結果の報告が、2023年10月から有資格者による調査が義務になりました。調査を契約前に済ませてもらえれば、費用の見通しが立ちます。家財は一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か自治体の収集で片付け、相続放棄を考えているなら手を付ける前に専門家へ相談します。工事中に出た追加の依頼は、書面で合意してから進めてもらいましょう。
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