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空き家を放置するとどうなる?1年・3年・5年・10年で見る劣化と行政対応

空き家を放置すると何が起きるかを1年・3年・5年・10年の時系列で整理。建物の劣化、近隣リスク、管理不全空家の指導、売却価格への影響と、早めに相談すると残る選択肢を解説します。

しまいごとノート編集部
雑草が伸びた庭と雨戸を閉めたままの古い木造の空き家
目次
  1. 放置1年目、閉め切った室内に湿気と臭いがこもる
  2. 3年目、雨漏りと越境、相続手続きの期限が重なる
  3. 5年目、管理不全空家として指導を受ける段階
  4. 10年目、特定空家と解体費が売却価格に響く
  5. 時系列で見る、相談の時期で変わること
  6. まとめ

放置1年目、閉め切った室内に湿気と臭いがこもる

人が住まなくなると、窓を開ける、水を流す、雨戸を動かすといった毎日の動作がなくなります。閉め切った室内は湿気が抜けません。梅雨と夏を一度越すと、畳や押し入れ、北側の壁紙にカビが出やすくなります。台所や浴室の排水口では、下水の臭いを止めている封水が数か月で蒸発し、臭いや小さな虫が室内に上がってきます。

外から見える変化も1年目に始まります。春から秋にかけて庭の雑草が伸び、郵便受けにチラシがたまると、通りがかりの人にも空き家だとわかる状態になります。寒冷地では、水抜きをしないまま冬を越した水道管が凍結で破裂することがあります。

この時期に確認したいのが火災保険です。住む人がいなくなると、契約の種類によっては保険会社への通知や契約の見直しを求められます。証券を出して空き家になった時期を伝え、補償が続くかを確かめておくと、台風や漏水の被害が出たときに慌てずに済みます。

3年目、雨漏りと越境、相続手続きの期限が重なる

3年ほど点検のない家では、台風や大雪で屋根材や雨どいがずれても誰も気づきません。小さな雨漏りが天井裏の断熱材や柱を濡らし続けると、木材の腐朽やシロアリの被害につながります。室内に染みが見えた時点で、屋根の下地まで傷んでいることも少なくありません。

庭木は隣の敷地や道路にはみ出し始めます。法務省によると、2023年4月施行の改正民法で、越境した枝の切除を求めても所有者が相当の期間内に切らない場合や、所有者がわからない場合には、隣地の人が自分で枝を切り取れるようになりました。近隣との関係がこじれる前に剪定を手配したい時期です。

手続きの期限もこの頃に重なります。2024年4月1日から相続登記が義務になり、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象になります(法務省)。売却を考えるなら、国税庁が案内する「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」にも期限があります。昭和56年5月31日以前に建てられた家などの条件を満たし、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。2024年1月以降の譲渡では、相続人が3人以上いると1人あたり2,000万円までになり、適用期限は2027年12月31日までの譲渡です。

先に確認すること

相続放棄を考えている場合、家財の処分や建物の解体・売却をすると、相続を承認したものとみなされることがあります。相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。放棄するかを決めるまでは価値のある遺品や家そのものに手を付けず、家庭裁判所の手続きや司法書士・弁護士への相談を先に済ませてください。放棄の時点でその家を現に使っていた人には、次に管理する人へ引き渡すまで保存の義務が残ります。

5年目、管理不全空家として指導を受ける段階

2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法で、「管理不全空家等」という区分ができました(国土交通省)。そのまま放置すれば、倒壊などの危険がある「特定空家等」になるおそれのある空き家が対象です。市区町村は所有者に指導を行い、改善されなければ勧告を出せます。

国土交通省の指針は、屋根や外壁の一部の破損、窓ガラスの割れ、雨どいの外れ、敷地からはみ出した草木、ごみの放置などを判断の例に挙げています。5年ほど手入れのない家では、こうした状態がいくつも重なりがちです。

勧告を受けると、敷地は固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。税額の変わり方は固定資産税の記事で整理しています。この段階で知っておきたいのは順序で、特例が外れるのは勧告を受けてからです。指導の段階で修繕や草木の処理をすれば、勧告に進まずに済みます。

読者の疑問

放置して5年たつと、自動的に市役所から通知が届くのですか?

しまいごとノート編集部

年数で通知が決まる仕組みはありません。市区町村は近隣からの相談や現地の見回りをきっかけに建物の状態を調べ、指導するかを判断します。所有者は固定資産税の課税情報などから調べられるので、遠方に住んでいても連絡は届きます。

10年目、特定空家と解体費が売却価格に響く

10年近く人の手が入らない家は、雨漏りが構造材まで進み、床の沈みや外壁のはがれが目に見えてきます。空家等対策特別措置法は、倒壊など保安上著しく危険な状態、衛生上著しく有害な状態、景観を著しく損なう状態などの空き家を「特定空家等」と定め、市区町村は助言・指導、勧告、命令と段階を踏みます。命令に従わないと50万円以下の過料の対象です。それでも改善されなければ行政代執行で解体などが行われ、かかった費用は所有者に請求されます

近隣への被害も起こりやすくなります。強風で瓦や外壁材が飛び、隣家の車や通行人に当たった場合、民法717条の工作物責任により、建物の所有者は過失がなくても損害賠償を負うことがあります。

売却では価格に影響が出ます。建物に価値が見込めない家は「古家付き土地」として扱われ、買い手は解体費を見込んで値下げを求めるのが一般的です。木造2階建てで延床30坪ほどの解体は、100万〜200万円前後の見積もりになることが多く、アスベストの調査・除去、残された家財の量、重機が入れない狭い道路といった条件で上がります。

※2026年7月時点の目安です。最新の料金・制度は各社公式・自治体でご確認ください。

時系列で見る、相談の時期で変わること

放置の期間建物と敷地の状態行政・法律の動き売却への影響
1年カビ、排水口の臭い、雑草目立った動きは少ない清掃と換気で住宅として売り出しやすい
3年雨漏り、庭木の越境相続登記の期限、3,000万円控除の期限控除を使って売れる最後の時期
5年外壁や窓の破損、ごみの放置管理不全空家の指導・勧告修繕費の分だけ値下げを求められやすい
10年構造材の腐朽、倒壊の危険特定空家の命令・行政代執行解体費を差し引いた土地価格になりやすい

表の年数は目安で、立地や建物の構造、雪の多さや湿度で前後します。1〜2年目に動けば、住宅として売る、賃貸に出す、自治体の空き家バンクに登録するといった選択肢が残り、3,000万円控除の期限にも間に合います。解体費や改修費の補助を設けている市区町村もありますが、工事の契約や着工の前に申請することを条件にしている例が多いため、業者を決める前に窓口で確認します。

動き出す順番は次のとおりです。

  1. 相続人と名義を確かめ、法務局で相続登記を進める
  2. 市区町村の空き家相談窓口で、補助制度と空き家バンクの有無を聞く
  3. 家財を片付ける。回収を頼むなら、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、自治体の粗大ごみ収集を使う
  4. 売却・賃貸・解体・管理継続のどれにするかを、不動産会社の査定と税務署への確認をもとに決める

片付けの段階では、トラックで巡回する「無料回収」に注意してください。家庭から出る不用品の回収には一般廃棄物処理業の許可が必要で、環境省は無許可の回収業者を利用しないよう呼びかけています。国民生活センターにも、積み込んだ後に高額な料金を求められたという相談が寄せられています。すぐに売却や解体を決められない場合は、月1回程度の換気・通水と見回りを続けるか、遠方なら管理代行サービスを使い、劣化の進み方を1年目の状態に近いまま保ちます。

まとめ

空き家を放置すると、1年目は湿気と臭い、3年目は雨漏りと相続の期限、5年目は管理不全空家としての指導、10年目は特定空家の命令や解体費の負担というように、問題が段階を追って重くなります。相続登記と3,000万円控除には3年前後の期限があります。方針が決まっていなくても、名義の確認と市区町村の空き家相談窓口への連絡から始めれば、住宅として売る、貸すといった選択肢を残したまま、家族で考える時間を確保できます。

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この記事を書いた人

しまいごとノート編集部

費用相場・手続き・業者選びの下調べ担当

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